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正しい呼吸で動きの効率化の理由!?
1.正しい呼吸は姿勢や体幹を安定
お腹の圧力(腹圧)は体を安定させる圧力の中でも極めて重要な圧力です。通常、息を吸ったとき(吸気)に横隔膜がお腹の空間(腹腔)を圧迫します。このメカニズムにより腹圧が構成され体幹が安定(静的な安定)します。そして、体幹の安定は四肢の負担の軽減につながります。強く安定した体幹は重い頭部をささえる頚部の負担軽減することができ、そして頚部の負担の軽減は運動時の肩や肘などの負担の軽減につながります。
一方、息を吐き切った状態で十分な腹圧を作り出せなければ、体は他の強い筋肉に助けを借りて腹圧を保ちます(代償運動)。体幹トレーニングでよく行われるプランクや四つ這いでの手足を伸ばすエクササイズは、通常、息を吐いた状態で行います。これは、横隔膜の働きを借りずに腹圧を作り出そうという目的で行われています。
2. 呼吸は自律神経安定させる
自律神経は体を環境からの色々なストレスに反応させ、循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能や代謝など内的変化を促します。ストレスへの反応は交感神経か副交感神経のどちらかの神経系を一時的に多く働かせることにより、体の安定状態に戻します。
交感神経は『闘争・逃走反応』などと言われ、血圧や心拍数を上げ、発汗するなど激しい活動を行う時に活性化されます。反対に、副交感神経は『休息と消化』に多く関わります、食事後に眠くなるのはこの副交感神経の働きによるものです。
『過呼吸』は交感神経が副交感神経に比べ過度に働くバランスの崩れた呼吸のパターンです。効率の良い呼吸パターンは『過呼吸』のパターンとは全く反対で呼気(息を吐く)を長く・多くすることにより得られます。
このように呼吸は脳幹の神経活動と密接に関わっており、意識的に行うことで自律神経の活動をどちらが優位な状態にも持っていくことができます。
- 呼気(息を吐く)を多くすることにより、心拍数を下げるなど副交感神経意識的に活性化
- 吸気(息を吸う)を多くすることにより、心拍数を上げるなど交感神経意識的に活性化
3. 呼吸は体の循環を促進する
正しく効率の良い呼吸は循環器にも影響を与えます。ケガやトレーニング後の回復など、細胞の修復過程、いわゆる『ヒーリング・プロセス』では血行と酸素の供給が大変重要です。この『ヒーリング・プロセス』も呼吸を上手くコントロールすることにより血管を広げた、細胞に供給出来る血液や酸素を増やすことが可能です。
・交感神経は血管収縮
・副交感神経は血管拡張
呼吸を正しく、効率よく行うことにより、副交感神経が優位な状態を心掛けます。副交感神経は血管を拡張、血流を改善、細胞の成長や修復に必要な酸素や栄養を供給しやすいコンディション提供します。ストレスの多く交感神経優位な状態では、なかなか思うようにコンディションが上がらないのもしっかりと説明がつきますね。
呼吸は人間の動作の中枢的な役割を果たしており、意識の仕方次第で私たちの体を大きく変化させることが出来る可能性を持っています。体幹の安定向上、自律神経の安定や循環器への役割など、呼吸の体に与える影響を出来るだけ理解し、フィットネスの向上やパフォーマンスの向上に役立てられると良いですね。
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