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日光浴とビタミンD
ビタミンDは皮膚が光を浴びることにより自身で作り出せるビタミンです。 しかし、国内外の研究によるとビタミンDの不足1は決して稀なことではなく多くの方に起こっています。特に日本人女性においては正常者がたった20%2とかなり深刻な状態です。
ビタミンDの働き
ビタミンDはカルシウムやリンの代謝と密接に関わっています。不足すると骨や筋力が弱くなるだけではなく、必要なホルモンも作れくなります。またビタミンDの十分な摂取はがん(大腸がん、乳がん3、前立腺がん、膀胱がん4、すい臓がんなど)の発生率が低いことや、心臓発作や脳卒中などの心臓血管病の発生率が低い事も示唆されています。以下はビタミンDと関係する病気です。
- 骨粗鬆症
- 糖尿病
- うつ
- 肥満
- がん
- MS(多発性硬化症)
どれぐらい太陽を浴びれば良いのか?!
皮膚の細胞にあるコレステロール、プロビタミンD( 7-dehydrocholesterol )に紫外線B波(UVB) が作用しビタミンDが作り出されます。血中のビタミンDの濃度を表す 25(OH)Dの値(基準値30~100 ng/ml)は8~9月に最高値に達し、3月に最低値になる傾向があるようです。 Dr. Karolina M. Zielinska によると、ビタミンD を作り出すために必要なUVBは、太陽光の中でもわずか5%と微量で、太陽高度が45°以上でないと光の屈折が多くなるため地上に届き難いようです。 しかし、UVB(280~315nm)は、UVA(315~380nm)よりも波長が短く、皮膚を赤くしたり日焼けをおこす紫外線でもあります。日焼けのし過ぎはシミ・そばかす、皮膚の老化5、目の病気だけでなく、皮膚がん6の原因となり適量を把握するのがなかなか困難ですが、日焼けしないギリギリの線まで日光浴をする必要がありそうです。
イギリスの研究では夏に日光を10~30分間、週に2,3回で浴びることにより十分なビタミンDを作り出すことが出来る7と報じています。ロンドンは北緯51°、夏至の太陽南中光角度は62.4°(90-51+23.4)、 北緯の36° の東京の78.4°に比べるとだい低くはなりますが、45°はクリアし、日光浴により十分なビタミンDを得られる事になります。また緯度が60°で 夏至の太陽南中角度 が53° ( 90-60+23.4 )のノルウェーでも夏の30分ほどの日光浴で十分なビタミンDを得られるようです。また緯度が35°よりも低い地域でもビタミンDの不足8は起こっており、日光浴の大切さを再認識することが重要です。
東京の冬至の太陽南中角度は31.4°となります。 太陽高度が45°に到達しない 10/17~2/24の期間は十分なUVBは十分得られない事になり、食事やサプリメントから補う必要があります。太陽角度の一日の変化は以下のサイトで計算してくれるのでご参考してください。
- https://keisan.casio.jp/exec/system/1185781259
- http://k-ichikawa.blog.enjoy.jp/etc/HP/js/sunShineAngle/ssa.html
太陽高度以外に考慮すべき条件
- 天気( 晴れの日を100%とすると、紫外線の量は曇りの日いおよそ65%、雨の日は20% )
- 年齢(50歳以上)
- 皮膚疾患
- 肌の色(色の濃い方はビタミンDの生産に時間がかかる)
- 薬の服用されている方( 下剤、ステロイド剤、抗てんかん薬など )
- 日焼け止め(UVBの98%以上を遮断すると言う研究9も)
そもそもビタミンDの量を示す単位がμgだったり、IU(International Units)だったりと分かりにくい。 “1IU= 0.025μg ”で、400~800IUは必要なので10~20μgが必要となるが下記の食材を食べるように心掛ければ先ずは不足はなさそうです。
ビタミンD食材(100g当たり)
- サーモン(32μg)、 マイワシ (32μg)、さんま (19μg) 、 ウナギ (18μg) 、
- ヒラメ (13μg) 、マサバ (11μg) 、メカジキ (11μg) 、マグロ (6μg) 、
- 乾燥きくらげ (85.4μg) 、干し椎茸 (12.7μg) 、レバー (0.2~1.3μg) 、バター (0.6μg)
サプリメントはどうなのか?
もちろん食べ物から摂取するのがベストですが、どうしても魚が食べれないと言う方はサプリメントもありでしょう。2種類のサプリメントがあり。ビタミンD2 (ergocalciferol)は食材に見られる形のもの、またD3 (cholecalciferol)は光から生産された形のものになります。どちらも一般的には成人1日辺り400IUほどが適量で、高齢になるほど60~70歳は600IU、70歳~は800IUと多くの量を勧めています。反対に4000IUまでは影響はない11ようですが、過剰摂取により吐き気、食欲不振、喉の乾き、筋力の痛みなどを発症します。
まとめ
- 春と秋は昼前後に長めの15~30分日光浴
- 夏は太陽角度が45°以上になる9AM、15PM10に10分ほど日光浴
- 太陽高度が45°に到達しない冬場は食事やサプリメントで補う
- 日焼け止めは短い時間であれば使用を控える
参考文献
- 1.Forrest KYZ, Stuhldreher WL. Prevalence and correlates of vitamin D deficiency in US adults. Nutrition Research. January 2011:48-54. doi:10.1016/j.nutres.2010.12.001
- 2.Miyamoto T, Hirayama A, Sato Y, et al. Metabolomics-based profiles predictive of low bone mass in menopausal women. Bone Reports. December 2018:11-18. doi:10.1016/j.bonr.2018.06.004
- 3.Hossain S, Beydoun MA, Beydoun HA, Chen X, Zonderman AB, Wood RJ. Vitamin D and breast cancer: A systematic review and meta-analysis of observational studies. Clinical Nutrition ESPEN. April 2019:170-184. doi:10.1016/j.clnesp.2018.12.085
- 4.Dunn JA, Jefferson K, MacDonald D, Iqbal G, Bland R. Low serum 25-hydroxyvitamin D is associated with increased bladder cancer risk: A systematic review and evidence of a potential mechanism. The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology. April 2019:134-140. doi:10.1016/j.jsbmb.2019.01.002
- 5.Kennedy C, Bastiaens MT, Willemze R, Bouwes Bavinck JN, Bajdik CD, Westendorp RGJ. Effect of Smoking and Sun on the Aging Skin. Journal of Investigative Dermatology. April 2003:548-554. doi:10.1046/j.1523-1747.2003.12092.x
- 6.Cummings SR, Tripp MK, Herrmann NB. Cancer and Metastasis Reviews. 1997:309-327. doi:10.1023/a:1005804328268
- 7.Rhodes LE, Webb AR, Fraser HI, et al. Recommended Summer Sunlight Exposure Levels Can Produce Sufficient (≥20ngml−1) but Not the Proposed Optimal (≥32ngml−1) 25(OH)D Levels at UK Latitudes. Journal of Investigative Dermatology. May 2010:1411-1418. doi:10.1038/jid.2009.417
- 8.Harinarayan CV, Holick MF, Prasad UV, Vani PS, Himabindu G. Vitamin D status and sun exposure in India. Dermato-Endocrinology. January 2013:130-141. doi:10.4161/derm.23873
- 9.Libon F, Courtois J, Le Goff C, et al. Sunscreens block cutaneous vitamin D production with only a minimal effect on circulating 25-hydroxyvitamin D. Arch Osteoporos. July 2017. doi:10.1007/s11657-017-0361-0
- 10.Alshahrani FM, Almalki MH, Aljohani N, Alzahrani A, Alsaleh Y, Holick MF. Vitamin D. Dermato-Endocrinology. January 2013:177-180. doi:10.4161/derm.23351
- 11.Zittermann A, Ernst JB, Prokop S, et al. Vitamin D supplementation of 4000 IU daily and cardiac function in patients with advanced heart failure: The EVITA trial. International Journal of Cardiology. April 2019:117-123. doi:10.1016/j.ijcard.2019.01.027
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