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マラソンは一度のレースで何千キロカロリーのエネルギーを消費し、筋肉だけでなく心臓などの内臓へも大きな負担をかけることがあります。コンディションに合わせた食べ物の選択や十分な栄養摂取が必須となりますが、食事と運動の関係についてこれまであまり研究がなされて来ませんでした。スペインで行われたこの研究1ではマラソン前の一週間に摂った食事が、レースにより筋肉 (EIMD: exercise-induced muscle damage ) や心臓 (EICS: cardiac stress) へどのような影響与えるかを明らかにしました。着眼点もそうですが、調査の仕方がとてもユニークで面白いと思ったので紹介させて頂きます。
結果から言うと…
お肉、特に脂の多いお肉やバターの摂取はマラソンによる筋肉ダメージや心臓へのストレスが強くなるそうです。一方、魚、野菜やオリーブオイルの摂取は筋肉や心臓をダメージから守る働きがあると判明。体へ大きなにストレスがかかるマラソンのレースでは、事前のより良い食べ物の選択により体へのダメージを軽減出来ると言うことです!
マラソン後に採取した血液データ
- 血清クレアチンキナーゼ (CK): 筋細胞の損傷の値
- ミオグロビン : 筋細胞の損傷の値
- MB型クレアチニンキナーゼ (CK-MB): 心筋細胞が損傷の値 (筋-脳型アイソザイム )
- ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント (NT-proBNP): 心筋細胞が損傷の値
- 心筋トロポニン I (TNI): 心筋細胞が損傷の値
- 心筋トロポニン T (TNT): 心筋細胞が損傷の値
マラソン後の筋細胞の損傷の値を示す血清クレアチニンキナーゼとミオグロビンの上昇は肉の摂取関係、一方、野菜の摂取は血清クレアチニンキナーゼの低下と関係。また心筋細胞が損傷の値を示すヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメントや心筋トロポニンIの値の上昇は、バターや脂質の多い肉の摂取と関係、反対に魚の摂取はクレアチニンキナーゼ、トロポニンIとトロポニンTの値の低下と関係した。オリーブオイルの摂取もトロポニンIとトロポニンTの値の低下と関係した。
マラソン前は野菜と魚オリーブオイルを積極的に食べるようにして、お肉や脂の摂取をひかえましょう!
- 1.Mielgo-Ayuso, Calleja-González, Refoyo, León-Guereño, Cordova, Del Coso. Exercise-Induced Muscle Damage and Cardiac Stress During a Marathon Could be Associated with Dietary Intake During the Week Before the Race. Nutrients. January 2020:316. doi:10.3390/nu12020316
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