この記事を読むのに必要な時間は約 3 分です。
膝の靭帯再建の手術経験者はなかなか多い
ケガによって仕方ない場合でも、子供が手術を受けるのは誰でも抵抗があると思います。子供のの行動の仕方やや運動量などを考えると、手術はしょうがないと思うこともありますが、長期的にみた場合にはどんな影響があるのかは、あまり知られていません。ACLR(前十字靭帯再建術)は、チームに一人は手術の経験者がいる程ポピュラーな手術です。前十字靭帯は膝の中にあり、膝を繋いでいるとても強い組織です。靭帯は、一度、損傷・断裂を起こすと、ほとんど元にはもどらないので、手術は関節を安定させる目的で行われます。
骨関節炎“65%”と長期的にみてやはり多かった
先日、ニューオリンズでアメリカ整形外科学会のスポーツ医学会の会合が開かれ、前十字靭帯再建術の長期的な統計結果が発表されました。前十字靭帯再建術を受けた12歳~16歳の32人の子供の14年半(175ヵ月)後は、骨関節炎の発症が多いということでした。手術を受けた膝の関節炎発症率は65%、手術を受けなかった膝の14%に比べ、4倍以上の確率で発症していました。
手術とデータだけでは語れない…
しかし、このデータだけで手術を思い止まっては行けません。前十字靭帯再建の手術になるには、半月板など他の軟骨組織を損傷していると考えられる場合が多いのです。統計的には手術によって、むしろ骨関節炎の確立は減少しているかも知れません。
また、ここ10~20年でリハビリの技術的背景にも大きな変化があります。以前は膝周辺の筋力を鍛え直すという手法が多く使われていましたが、近年は膝周辺の筋力よりも、体幹や股関節周りの機能性向上にフォーカスしています。体の動かし方、バイオメカニクスの研究も進んでおり、医療機関での行為以外での、予防や再発防止の分野が急激に伸びてきています。
スクリーニングの強化を!
前十字靭帯に限らず、膝の周辺の痛みは10代の内に感じることがなければ、その後、痛みが発症する確率が低いという統計を、どこか(探し次第訂正します)で見ました。早期に専門家から正しい知識を得ることににより、その後の痛みの発症をかなり削減出来るのは事実です。病院の治療の有無にかかわらず、膝に痛みを抱えながら生活している人は多数ですが、知識を持ち、自分で解決という仕組み作りが、今後、、もっと発展していくことを願います。
コメント