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奇跡のスパイス: クローブ
クローブはお花のつぼみ…
クローブは、熱帯·亜熱帯地域に生息する樹木、フトモモ科1 の植物チョウジノキの花のつぼみを乾燥させたもの。
釘のに似た形状から日本では丁子、丁字(ちょうじ)、丁香(ちょうこう)とも呼ばれており、その歴史も古く奈良時代に作られた正倉院の宝物のなかにも存在し仏教などの信仰とも関わりの強いスパイスである。
また大航海時代にはヨーロッパ諸国需要が高まり、アラブ商人などによりコショウやナツメグとともに高価で取引されるようになったと。
原産地:モルッカ諸島(インドネシア)
スパイス諸島とも呼ばれるインドネシア、マルク州、モルッカ諸島はバンダ海に孤立してかたまる7つの島。その中でもクローブの木は隣合う次の2つの島でしか生息していなかった。
西ヨーロッパに届くまで 12 ほどの 小商人を経由 、行く先々で価格が倍になっていたというので、クローブがヨーロッパでどれだけ高価なものだったかがわかる。 スペイン、ポルトガル による大航海時代の幕開けとなったのは クローブやナツメグが 引き金になったがと言っても過言ではないだろう。
どのように利用されてきたのか?
国や地域 | 利用法 |
---|---|
古代インド・中国 | 殺菌、 消毒 |
漢方薬 | 女神散、柿蔕湯 |
日本薬局 | 胃薬として |
精油を殺菌・防腐薬 麻酔・鎮痛薬 | |
仏教 | 口内のお清め |
ヨーロッパ | ペストのお守り |
抗酸化作用がものすごい!
2010年のネイチャーの記事によると、クローブには100g当たり15,188 mgものポリフェノールを含有しており、ポリフェノールの王者であることがわかる。また、その他の抗酸化物質も豊富に含んでおり、歴史上このスパイスが重宝され続けて来たことがわかる。
精油の主成分: オイゲノール
オイゲノール2は科学的にも殺菌や消毒の効果がみとめられており、現在でも香料や医薬品のほか、昆虫の誘引剤、紫外線吸収剤などとしても利用されている。
インドに見られるブレンド
知名度の高いガラムマサラブレンド
ガラムマサラ(Garam masala) とは古代インド医学(アーユルヴェーダ)のコンセプトを受け継ぐスパイスブレンド。辛く刺激のある物を想像してしまうが、ガラムは本来、体を温めるという意味であり、これらのスパイスブレンドによって体温を上げる古代医学の手法に起源する。
インドでは基本的に下記の3つのスパイスミックスをさす。
加えて以下のスパイスを加えることもある。
飲み物に利用 “マサラチャイ”
伝統的なインドのミルクティー。最近ではスターバックスなどでもオーダー出来る。スパイスの要素は少なくなり、甘みの要素が増す傾向が強いが、元来はアーユルヴェーダの要素を引き継ぐハーブティー。家庭により使用するスパイスや作り方は違うが、基本的にはクローブを中心に以下の基本スパイスが入る。
マサラチャイの効果
マサラチャイに入る紅茶は血圧9や循環器 10の病気、コレステロール値11の改善、シナモンには血糖値の改善12などが科学的にも報告されている。
- 消炎鎮痛
- 疲労回復
- 代謝・免疫力向上
- 消化向上
- 抗酸化作用13
マサラチャイの作り方はこちら
中国に見られるブレンド
中国では皇帝に合う際息を甘くするなど、クローブを使って来た歴史が非常に深い。食品としてだけでなく、医食同源の根幹をなす役割としても利用する概念が現代でもしっかりと生きている。
漢方薬:薬として利用されて来た
1.女神散(にょしんさん)
更年期障害、月経不順、産前産後の神経症などに用い、不眠、頭痛、めまい、動悸、不安感といった症状に有効とされる
2.柿蔕湯(していとう)
しゃっくり止めや手足の冷えに有効とされる
- 柿蔕(柿のへた)
- 丁香(クローブ)
- 生姜
中華料理のブレンド
五香粉25
五香粉は、中国の代表的な混合香辛料。 桂皮、丁香、花椒、小茴、大茴、陳皮などの粉末をまぜて作られる。メーカーによって使用するスパイスは異なり、それぞれの配合割合も異なる。
他の地域でみられるブレンド
アラブに見られるブレンド
Bahārātはアラブ語でスパイスという意味で、中東からギリシャで使われているスパイスミックスである。ラムや魚、鶏肉、牛肉、スープなど幅広い料理に用いられている。
ペルシャにられるブレンド
Advieh はペルシャ語でスパイスを意味するが、ペルシャ湾からカスピ海沿岸の地域のスパイスミックスの手法で、主にライスやチキン、豆料理に使われる。
モンゴルでみられるブレンド
モンゴルには**Baffat(バファット)**というクローブをブレンドしたスパイスミックスがあり、豚肉などの肉料理に使われている。
ヨーロッパに見られるブレンド
中世ヨーロッパではクローブをペストのお守りとして使っていた。またクローブをデコレーションのように差し込んだパウンダーというにおい玉をアロマセラピー的に使ってきた歴史もある。近代のヨーロッパでのクローブの使い方の特徴的なのは飲み物にミックスする所であり、特に秋から冬にかけてアップルサイダーやホットワイン飲料に用いられる。
- フトモモ科の植物;東南アジアやオーストラリア、南米ユーカリの熱帯・亜熱帯地域に分布する樹木。グアバやレンブ、フトモモ、また香辛料のクローブやオールスパイスもこの仲間である。 ↩︎
- オイゲノールとはクローブ油、シナモン葉油、シナモン皮油などに含まれる特異な芳香のある液体。クローブのつぼみのの他、葉や花茎からも得られる。オイゲノール ウィキペディア ↩︎
- 桂皮(ケイヒ)、シナモン、ニッキ(肉桂)は、クスノキ科ニッケイ属の複数の樹木の内樹皮から得られる香辛料。芳香性健胃、発汗、解熱、鎮痛、整腸、駆風、収斂などに利用 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎
- ナツメグとは、ニクズク科の20mほどになる常緑高木の一種から採れる種子から作られる香辛料。ナツメグの原産地もクローブと同じくをインドネシアのモルッカ諸島である。 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎
- カルダモンとは、小豆蒄(ショウズク)と言われショウガ科の多年草の種子を乾燥させたスパイス。原産地はインド、スリランカ、マレー半島など。爽やかな香りから「スパイスの女王」とも呼ばれる。 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎
- 胡椒とは、コショウ科コショウ属の果実を乾燥させたスパイス。抗菌・防腐・防虫作用があり冷蔵技術が発達していなかった時代には欠かせないスパイスだった。 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎
- クミンとは、エジプトを原産とするセリ科の一年草の果実を乾燥させたもの。苦味と辛みがある最も古くから栽培されているスパイスの一つ。 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎
- ベイリーフとは、地中海沿岸原産とするクスノキ科の常緑高木、月桂樹の葉を乾燥させたもの。古代ギリシャやローマ時代から勝利や栄光のシンボルとされてきた。 ↩︎
- The effect of black tea on blood pressure: a systematic review with meta-analysis of randomized controlled trials ↩︎
- Green and black tea for the primary prevention of cardiovascular disease. ↩︎
- Black tea consumption and serum cholesterol concentration: Systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials ↩︎
- The potential of cinnamon to reduce blood glucose levels in patients with type 2 diabetes and insulin resistance ↩︎
- Mechanisms of Body Weight Reduction by Black Tea Polyphenols ↩︎
- 当帰(トウキ)は、セリ科シシウド属の多年草。鎮痛、鎮静、強壮などに利用 ↩︎
- 香附子(コウブシ)は、乾地に生えるカヤツリグサの1種。雑草としてよく見かけられ、芳香性健胃・消化、発汗、解鬱、浄血、通経鎮痛などに利用 ↩︎
- 川芎(センキュウ)は、中国北部原産で秋に白い花をつけるセリ科の多年草の根茎を、通例、湯通しして乾燥したもの。駆瘀血、鎮静、鎮痛、補血、強壮などに利用 ↩︎
- 白朮(ビャクジュツ)、別称、オケラはキク科の多年草。生薬や山菜として食されることもあり、健胃整腸、利尿、発汗などに利用 ↩︎
- 黄連(オウレン)はキンポウゲ科の常緑の多年草。消炎、止血、精神不安などに利用 ↩︎
- 黄芩(オウゴン)、別称コガネバナは、シソ科の多年草。抗菌作用、解熱、利尿、抗アレルギー、解毒作用、肝機能の活性化などに利用 ↩︎
- 人参(ニンジン)は、ウコギ科の多年草の根を乾燥したもの。健胃整腸、鎮痛、去痰、駆風などに利用 ↩︎
- 檳榔子(ビンロウジ)は、太平洋・アジアおよび東アフリカの一部で見られるヤシ科の植物の種子を乾燥させたもの。収斂、健胃、理気、駆虫などに利用 ↩︎
- 木香(モッコウ)は、キク科の植物。ネパールやインドで絶滅が危惧され、ワシントン条約で国際取引が制限。 ↩︎
- 甘草(カンゾウ)は、マメ科カンゾウ属植物の根や根茎を乾燥させたもの。鎮痛、鎮痙、解毒、鎮咳などに利用 ↩︎
- 大黄は、タデ科の根および根茎を乾燥させたもの。緩下、消炎、健胃および駆瘀血作用など利用 ↩︎
- 五香粉ウィキペディア ↩︎
- 花椒(カホクザンショウ)は、中国のミカン科サンショウ属の落葉低木。痺れるような辛さを持つ香辛料として、四川料理で多用。漢方では健胃・鎮痛・駆虫に利用 ↩︎
- 小茴(フェンネル、ウイキョウ)は、セリ科ウイキョウ属の多年草。甘い香りと苦みが特徴で消化促進・消臭に利用 ↩︎
- 大茴(八角、スターアニス)は、中国原産のマツブサ科シキミ属の常緑高木の実を乾燥させたもの。インフルエンザ薬(タミフル)の原料としても用いられている ↩︎ ↩︎
- 陳皮(チンピ)は、熟したミカン科のマンダリンオレンジの果皮を干したもの。芳香性健胃、駆風、鎮吐、鎮咳などに利用。七味唐辛子の材料のひとつでもある。 ↩︎
- オールスパイスとは、中南米原産のフトモモ科の植物の果実または葉を乾燥させ香辛料としたもの。コロンブスによってヨーロッパに持ち帰えられたとも言われる。 ↩︎ ↩︎
- コリアンダーウィキペディア ↩︎ ↩︎ ↩︎
- ハナウドはセリ科ハナウド属の越年草、ときに多年草。ハナウドウィキペディア ↩︎
- サフランは、 西南アジア原産でアヤメ科の多年草およびそのめしべを乾燥させた香辛料。最初に栽培されたのがギリシアとも言われている。地中海の島で発掘された壁画によると、青銅器時代から栽培されたと考えられる。サフランウィキペディア ↩︎
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